発達障害のある中学生が「応用問題」でつまずきやすい理由|考える問題への対処法
基礎問題は解けるのに、応用問題になると急に手が止まってしまうことはありませんか。
文章題になると分からない。
問題文が長いと止まる。
どの公式を使えばいいか分からない。
解説を見ると分かるのに、一人では解けない。
このようなことが続くと、「自分には考える力がないのでは」と不安になるかもしれません。
しかし、応用問題が解けないことと、考える力がないことは同じではありません。
応用問題では、知っている内容を思い出すだけでなく、問題文を読み、情報を整理し、使う知識を選び、順番を考える必要があります。
発達障害のある中学生の中には、この複数の作業を一度に行うことに負担を感じる人がいます。
大切なのは、頭の中だけで全部考えようとしないことです。
問題を小さな作業に分け、紙に書き出せば、どこで止まったのかが見えやすくなります。
この記事では、応用問題でつまずく理由と、今日からできる具体的な対処法を紹介します。
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応用問題が苦手なのは「考える力」がないからではない

応用問題が苦手なのは、必ずしも考える力が不足しているからではありません。
多くの場合、持っている知識を問題に合わせて選び、組み合わせる途中でつまずいています。
基礎問題は解けるのに応用問題になると止まってしまう
数学の授業で「三角形の面積を求めなさい」と書かれていれば、底辺×高さ÷2を使える人は多いでしょう。
ところが、「花壇全体の面積から通路の面積を除いて、花を植えられる部分を求めなさい」となると、手が止まることがあります。
三角形や長方形の面積を求める力がなくなったわけではありません。
何を先に求めるのか、どの部分にどの公式を使うのかを、自分で決める作業が増えたためです。
基礎問題では、問題の形が「この公式を使ってください」と教えてくれます。
一方、応用問題では、自分で問題の形を見つけなければなりません。
つまり、基礎問題は解けるのに応用問題が解けない場合、公式を覚え直すだけでは解決しないことがあります。
まず、問題用紙の余白に次の3つを書いてみましょう。
- 最後に求めるもの
- 先に分かるもの
- 使えそうな公式
花壇の問題なら、「最後=花を植える部分」「先=全体と通路」「公式=長方形の面積」のように短く書きます。
式を作る前に問題の設計図を作るイメージです。
これにより、「計算ができない」のか、「計算までの道筋を作れない」のかを分けて考えられます。
応用問題は「新しい知識」ではなく「知識の使い方」を考える問題
応用問題には、授業でまったく習っていない知識が必要だと思うかもしれません。
しかし、多くの応用問題は、習った知識の使い方や組み合わせ方を変えた問題です。
例えば、数学で速さを求める公式を知っていても、問題文の中に「速さを求めなさい」とは書かれていないことがあります。
「家を出る時刻を10分遅らせても、同じ時刻に駅へ着くには、毎分何mで歩けばよいか」と書かれていれば、時間と道のりを整理してから速さを求めます。
このとき必要なのは、新しい公式ではありません。
問題文を習った形に直す力です。
応用問題を見たら、「知らない問題だ」と決める前に、「授業でやったどの問題に近いか」を探してみましょう。
教科書やノートの例題と比べ、同じ部分に丸、違う部分に波線を付ける方法もあります。
例えば、「速さ・時間・道のりが出てくるところは同じ」「求めるものだけが違う」と分かれば、初めて見る問題も、知っている問題の仲間として捉えられます。
応用問題を解く力とは、難しい発想を突然生み出す力ではありません。
知っている問題との共通点を見つけ、使える知識を選ぶ力です。
まずは自分がどこで止まっているのかを知ろう
応用問題が解けなかったとき、「全部分からなかった」と考えると、次に何を練習すればよいか分かりません。
実際には、止まる場所は人によって異なります。
次のどこで止まったのかを確認してみましょう。
- 問題文を最後まで読めなかった
- 何を求めるのか分からなかった
- 必要な数字を選べなかった
- 使う公式を選べなかった
- 式は作れたが計算を間違えた
- 答えは出たが、単位や説明を書けなかった
例えば、式を作れたのに計算を間違えたなら、応用問題の考え方はできています。
反対に、計算は得意でも必要な数字を選べないなら、計算練習を増やすだけでは改善しにくいでしょう。
問題を解いた後、止まった番号を問題の横に書いてください。
3問続けて「4」なら、次は公式を選ぶ練習に絞ります。
この記録は、自分専用の「つまずき地図」になります。
「応用問題が全部苦手」という大きな悩みを、練習できる小さな課題に変えられます。
応用問題で手が止まりやすい場面

応用問題では、読む、選ぶ、図を見る、解説を理解するなど、場面ごとに違う負担がかかります。
どの場面で止まりやすいかが分かれば、対処法も選びやすくなります。
文章題になると何を聞かれているか分からなくなる
数学の授業で長い文章題が出ると、読んでいる途中で最初の内容を忘れたり、数字が多くて混乱したりすることがあります。
国語でも、登場人物の気持ち、理由、文章の内容に合う選択肢など、聞かれ方によって探す場所が変わります。
問題文が読めていても、「何を答えればよいのか」がつかめていない場合があります。
このとき、最初から何度も全文を読み直すだけでは、負担が増えることがあります。
先に、問題文の最後にある質問を読みましょう。
そして、「何を」「どう答える」の2つに分けます。
例えば、「太郎さんが家から図書館まで歩いたときの平均の速さを、毎分何mか求めなさい」なら、次のように整理します。
「何を」=平均の速さ。
「どう答える」=毎分何mで答える。
その後で本文に戻り、道のりと時間を探します。
数字にはすべて線を引かず、答えを出すために使いそうな数字だけを四角で囲みます。
使わない可能性がある数字には、すぐ印を付けなくてもかまいません。
文章題は、最初から順番どおりに理解しなければならないものではありません。
質問を先に確認し、必要な情報を探しに戻る読み方でも解けます。
どの公式や考え方を使えばいいか選べない
授業で公式を一つずつ学んだときは解けても、定期テストで複数の単元が混ざると、どの公式を使うのか分からなくなることがあります。
これは公式を知らないのではなく、公式を選ぶための目印が整理されていない状態です。
公式だけを一覧にして暗記するのではなく、「どのようなときに使うか」と組み合わせて覚えましょう。
例えば、速さの公式なら、次のように書きます。
「道のりと時間が分かっていて、進む速さを聞かれたときに使う」
円の面積なら、次のように書けます。
「円の中の広さを求めるときに使う」
学校の問題で公式を選べなかったら、すぐに正しい公式を確認するだけで終わらせないようにします。
「問題文のどの言葉が、この公式を使う合図だったのか」を解説や先生の説明から探してください。
その言葉に色を付け、公式の横に書き足します。
ただし、「平均」という言葉があれば必ず同じ式になるとは限りません。
言葉を一つだけ見るのではなく、「何が分かっていて、何を求めるのか」まで確認することが必要です。
公式を選ぶときは、公式の名前当てをするのではありません。
分かっているものと求めるものをつなぐ公式を探します。
図や表があるだけで難しく感じてしまう
数学や理科で図、グラフ、表が出てくると、見る場所が増え、問題全体が難しく感じられることがあります。
図に補助線や記号が多いと、どこから見ればよいか分からないこともあるでしょう。
その場合、図や表を一度に全部理解しようとしないことが大切です。
最初に問題の質問を読み、図の中で答えに関係する場所だけを探します。
例えば、「午後2時から午後4時までに気温は何度下がったか」という問題なら、グラフ全体を説明する必要はありません。
横軸の午後2時と午後4時を見つけ、それぞれの気温を読むことから始めます。
図形問題では、求める角や辺を目立つ色で囲みます。
すでに分かっている角度や長さには別の色で印を付けます。
印の色は2色程度にしましょう。
色を増やしすぎると、かえって情報が多くなります。
教科書の複雑な図は、必要な部分だけ自分で簡単に描き直してもかまいません。
「きれいに写す」のではなく、「求めるものと分かっているものだけを残す」ことが目的です。
図や表は問題を難しくする飾りではありません。
文章だけでは見えにくい関係を示す道具です。
解説を読めば分かるのに一人では解けない
解説を見ると「そういうことか」と分かるのに、次の問題ではまた手が止まることがあります。
これは、解説の流れを理解できても、自分で最初の一手を選ぶ練習が足りていない可能性があります。
解説は、完成した道を最初から最後まで見せてくれます。
そのため、読んでいると自然に進めるように感じます。
しかし、一人で解くときは、まだ道が見えていません。
解説を読んだ後は、すぐ次の問題へ進まず、いったん解説を閉じてください。
そして、白紙に次の3つを書きます。
「最初に何を考えたか」
「なぜその式を使ったか」
「次に何を求めたか」
全部を再現できなくてもかまいません。
特に大切なのは、最初の一手です。
解説を閉じた途端に最初の一手が分からなくなった場合は、まだ「分かった」ではなく、「見れば分かる」段階です。
その問題を解説なしでもう一度始められたら、「一人で使える」に近づいています。
発達障害の特性と応用問題の関係

発達障害の特性の表れ方は、一人ひとり違います。
すべての人に同じ苦手さがあるわけではありませんが、情報整理や注意の切り替えなどが応用問題の負担につながることがあります。
必要な情報を整理することに時間がかかる
学校の文章題には、答えを出すために必要な情報だけでなく、場面を説明する言葉や、すぐには使わない数字が入っていることがあります。
必要な情報とそうでない情報を頭の中だけで分けようとすると、時間がかかる人もいます。
そこで、問題文を次の3種類に分けてみましょう。
- 聞かれていること
- 使うかもしれない情報
- 今は使わない情報
色分けするなら、聞かれていることに赤、使う情報に青など、役割を固定します。
毎回同じ色を使うと、色の意味を考え直す必要がありません。
ただし、長い問題文を最初から色だらけにしないようにしましょう。
まず質問を囲み、その答えに必要な情報を探す順番にします。
文部科学省の実践事例でも、説明の言葉を短くすることや、同時に複数の作業を求めないこと、視覚的に分かりやすく示すことなどが支援例として挙げられています。
<参考資料> 文部科学省「発達障害に関する教職員等の理解啓発・専門性向上事業」
自分で問題を解くときも、「読む」と「式を作る」を同時にせず、情報を整理してから式を考えると負担を分けられます。
知っていることを別の問題で使うのが難しい
学校では、授業で解いた例題と数字や場面が変わっただけで、別の問題に見えることがあります。
例えば、教科書では電車の速さを求めたのに、テストでは自転車の速さを求める問題が出ることがあります。
計算の仕組みは同じでも、登場するものが変わると、習った内容とのつながりに気付きにくい場合があります。
このときは、問題を「電車の問題」「自転車の問題」と場面で覚えないことが大切です。
「道のりと時間から速さを求める問題」のように、考え方の名前を付けます。
問題を解き終わったら、ノートの上に「これは何を使う問題だったか」を一行で書いてください。
例えば、次のように書きます。
「全体から一部分を引いて、残りを求める問題」
「二つの割合を比べる問題」
「分からない数をxとして式を作る問題」
この一行があると、別の場面の問題でも共通する考え方を探しやすくなります。
問題の見た目ではなく、答えまでの動きに名前を付けることが、知識を別の問題へ移す練習になります。
一度に複数のことを考えると混乱しやすい
応用問題では、問題文の内容を覚えながら、数字を選び、公式を思い出し、計算することがあります。
さらに、途中式を書いたり、単位を確認したりする必要もあります。
複数の情報を一時的に保ちながら処理する働きは、ワーキングメモリと呼ばれます。
ワーキングメモリは、読書、計算、推理などにも関係する認知機能です。
<参考資料> 文部科学省「発達障害の理解と特別支援」
頭の中で覚えておくことが多いほど、途中の情報が抜けやすくなることがあります。
対処法は、覚える力だけに頼らず、情報を紙の上に置くことです。
数学なら、余白を「分かっていること」「求めること」「計算」の3つに分けます。
英語なら、長文問題の設問に出てくる人物名や時刻を先に囲み、本文で同じ情報を探します。
理科なら、条件、変化させるもの、調べるものを別々に書きます。
一つ書いたら、一つ考えるようにします。
「読む・覚える・選ぶ・計算する」を同時にしないことがポイントです。
途中で疲れて考え続けられなくなることがある
考える問題が苦手な人の中には、応用問題を一問解くだけで強く疲れる人がいます。
周りからは手が止まっているように見えても、頭の中では問題文を何度も読み直し、多くの選択肢を検討していることがあります。
疲れた状態で粘り続けると、読めていた文章も頭に入りにくくなります。
そのため、「一問を解き切るまで休まない」という決め方が合わないこともあります。
時間ではなく、作業の区切りで休憩を入れてみましょう。
例えば、「質問を一文にできたら30秒休む」「使う数字を選べたら一度姿勢を変える」と決めます。
テスト勉強では、応用問題を何問解いたかではなく、「最初の一手を3問分考える」練習もできます。
3問すべてを最後まで計算する必要はありません。
質問を確認し、使う知識を選ぶところまで行ったら、答え合わせをします。
これなら、応用問題の重要な部分を短時間で繰り返せます。
疲れることを意志の弱さと考えず、考える作業の量を調整することが必要です。
応用問題を解くための考え方を身につけよう

応用問題を解くには、頭の中の考えを見える形にすることが大切です。
「質問・知識・理由」の順番で書くと、一人でも考え始めやすくなります。
「何を聞かれている問題か」を一文で言ってみる
問題文が長いときは、内容をすべて覚えてから解こうとしなくてかまいません。
まず、「この問題は何を求める問題か」を一文で言ってみましょう。
例えば、「A店とB店のどちらが安いかを、割引後の値段で比べる問題」とまとめます。
「値段の問題」とだけ言うより、何を比べるのかまで分かります。
一文にできないときは、次の形を使ってみてください。
「分かっている○○を使って、△△を求める問題」
数学なら、「道のりと時間を使って、平均の速さを求める問題」と言えます。
国語なら、「主人公の行動を使って、気持ちが変わった理由を答える問題」と言えます。
理科なら、「実験結果を使って、温度と溶ける量の関係を説明する問題」とまとめられます。
一文にする目的は、きれいな説明を作ることではありません。
考える方向を一つに絞ることです。
言葉にしにくい場合は、短いメモでも十分です。
使えそうな知識を先に全部書き出してみる
どの公式を使えばいいか分からないときは、正解の公式を頭の中で一発で当てようとするのではなく、使えそうなものを候補として書き出すようにしましょう。
例えば、円と長方形が組み合わされた面積の問題なら、次のように書けます。
「長方形=たて×横」
「円=半径×半径×π」
「色の部分=全体−白い部分かもしれない」
この段階では、間違った候補が入ってもかまいません。
次に、それぞれの候補について「今ある数字で使えるか」を確認します。
半径が分からないなら、直径から半径を求める必要があります。
全体の面積がまだ分からないなら、先に全体を求めます。
このように候補を書けば、公式選びが「思い付くかどうか」ではなく、「条件に合うか確かめる作業」に変わります。
応用問題で大切なのは、最初から正しい考えだけを出すことではありません。
候補を出し、使えるものを絞ることです。
答えよりも「どう考えたか」を大切にする
学校では、答えが合っているかどうかに目が向きやすいでしょう。
しかし、応用問題を伸ばすには、答えよりも途中の判断を振り返ることが大切です。
例えば、計算ミスで答えが違っていても、次のことができていれば考え方は進んでいます。
- 求めるものが分かった
- 必要な数字を選べた
- 使う公式を選べた
- 式を正しく作れた
反対に、答えが合っていても、たまたま数字を組み合わせただけなら、次の問題で同じように解けるとは限りません。
答え合わせでは、丸かバツだけを書かず、「どこまで一人でできたか」を記録しましょう。
例えば、問題の横に次の記号を付けます。
「Q」=質問をつかめた。
「I」=情報を選べた。
「F」=公式を選べた。
「C」=計算までできた。
Fまで一人で進み、計算だけを間違えたなら、次に練習するのは計算です。
Qで止まったなら、質問を一文にする練習が必要です。
正解と不正解の二つだけでなく、考え方を段階で見ると、できるようになった部分が分かります。
解説は答えではなく考え方を学ぶために読む
解説を見るとき、式と答えだけをノートに写しても、次の問題を解く力につながりにくいことがあります。
解説から取り出したいのは、正しい答えよりも「判断した理由」です。
解説を読むときは、次の3か所を探してください。
「最初に注目した情報」
「選んだ公式や考え方」
「その公式を選んだ理由」
例えば、解説に「全体の人数と男子の人数が分かっているので、引き算で女子の人数を求める」とあれば、重要なのは引き算の式だけではありません。
「全体と一部分が分かっているから、残りは引き算」という考え方が重要です。
解説に理由が詳しく書かれていない場合は、自分で式の横に理由を一言書きます。
その後、数字を隠し、「この問題ではなぜこの考え方を使ったのか」を説明してみましょう。
解説を読むとは、完成した式を覚えることではありません。
次の問題でも使える判断のルールを見つけることです。
応用問題は「考え方を言葉にする練習」で伸びる

応用問題への対応力を伸ばすには、式だけでなく、式を選んだ理由を短い言葉にする練習が有効です。
説明することで、自分が分かっている部分と曖昧な部分を区別できます。
なぜその公式を選んだのか説明してみる
数学の授業で答え合わせをするとき、正しい公式を書けていれば、そのまま次へ進むことが多いでしょう。
しかし、応用問題では「なぜその公式を選んだのか」を確認することが大切です。
説明は長くなくてもかまいません。
「速さを聞かれていて、道のりと時間が分かっているから」
「全体から使った分を引くと、残りが分かるから」
「二つの割合を同じ基準で比べたいから」
このように、分かっていることと求めることをつなげます。
説明できない場合は、公式を形だけで選んだ可能性があります。
そのときは、教科書の例題に戻り、「この公式は何を求めるためのものか」を確認してください。
「公式名」「使う場面」「必要な情報」の3列で、自分用の公式表を作る方法もあります。
公式の文字だけを覚えるより、選ぶための条件までセットにした方が応用問題で使いやすくなります。
友達や家族に解き方を説明してみる
学校で問題が解けた後、友達に「どうやったの」と聞かれても、説明しようとすると言葉に詰まることがあります。
この言葉に詰まる場所は、自分の理解がまだ曖昧な場所です。
説明するときは、授業のように詳しく話す必要はありません。
次の順番だけを意識します。
「何を求める問題だったか」
「最初に何を求めたか」
「なぜその計算をしたか」
相手がいない場合は、机の上のぬいぐるみやスマートフォンの録音機能に向かって説明してもよいでしょう。
声に出すことが苦手なら、ノートに3行で書くだけでも構いません。
説明を聞く家族は、すぐに間違いを直すのではなく、「最初に何を求めたの」「それが分かると、次は何が分かるの」と一つずつ質問すると助けやすくなります。
説明する練習の目的は、上手に話すことではありません。
頭の中にある解き方の順番を、自分で確認することです。
同じ考え方を使う問題を続けて解いてみる
応用問題を一問解いた直後に、まったく違う単元へ移ると、考え方の共通点に気付きにくいことがあります。
最初は、数字や場面が違っても、同じ考え方を使う問題を2~3問続けて解いてみましょう。
例えば、次の3問は場面が違っても、全体から一部分を引く考え方を使えます。
「代金からおつりを求める」
「学級全体から欠席者を除く」
「図形全体から白い部分を除く」
解いた後、それぞれの問題の下に共通する考え方を書きます。
「全体−一部分=残り」
次に、問題の順番を混ぜます。
同じ種類だと分かっている状態で解けても、混ざった中から考え方を選べなければ、まだ選択の練習が必要です。
最初は同じ型を続け、次に違う型と混ぜる。
この順番にすると、「できる」から「自分で選べる」へ進みやすくなります。
解けなかった問題は「考え方メモ」を残す
間違えた問題をノートに丸ごと写すと、時間がかかり、見直す量も増えます。
そこで、解けなかった問題には「考え方メモ」を残しましょう。
メモする内容は、次の4つです。
- 何を求める問題だったか
- 自分はどこで止まったか
- 最初の一手は何だったか
- 次に似た問題が出たら何を見るか
例えば、次のように書きます。
「割引後の値段を求める問題」
「割合を小数に直すところで止まった」
「先に値引きされる金額を求める」
「○%引きは、元の値段から引くことを確認する」
問題文や解説をすべて写す必要はありません。
一枚の紙やノートの見開きに、考え方メモだけを集めると、テスト前に見直しやすくなります。
これは「間違いノート」ではなく、自分が使える判断のルールをためるノートです。
間違えた記録ではなく、次に始めるための手がかりを残しましょう。
応用問題が苦手でも少しずつできるようになる

応用問題は、最初から最後まで一人で解けなくても練習できます。
一問を小さな段階に分け、一人で進める部分を少しずつ増やすことが大切です。
最初から全部解こうとしない
応用問題を見た瞬間に「最後の答えまで出さなければ」と考えると、問題がとても大きく感じられます。
まずは、次のうち一つだけに取り組んでみてください。
「何を求めるか囲む」
「使いそうな数字を選ぶ」
「図を描く」
「使えそうな公式を一つ書く」
ここまでできたら、すでに問題を解き始めています。
家庭学習では、一問を全部解く日だけでなく、「5問の質問部分だけを短く言い直す日」を作ってもよいでしょう。
また、「5問すべての公式候補だけを書く」という練習もできます。
応用問題が苦手な人に必要なのは、難しい問題を長時間考え続けることだけではありません。
問題を見たときに、最初の一手を出せる回数を増やすことです。
何も書けない状態から、質問を囲める状態へ進むことも、はっきりした成長です。
一問解けたら考え方も振り返る
応用問題が解けると安心して、すぐ次の問題へ進みたくなるでしょう。
しかし、解けた直後は、使った考え方を自分のものにする大切な時間です。
一問解けたら、30秒だけ振り返ります。
次の二つに答えてください。
「この問題の決め手は何だったか」
「数字や場面が変わっても使える考え方は何か」
例えば、「図を二つの長方形に分けたことが決め手」「複雑な図形は、知っている形に分ける」とまとめます。
正解した問題にも考え方メモを残すと、「自分ができた方法」がたまっていきます。
間違えた問題だけを集めるより、自分の成功パターンを確認できます。
テスト前には公式だけでなく、この成功パターンを見直してください。
「この形なら、まず分ける」「比較するときは条件をそろえる」といった言葉が、最初の一手を思い出す手がかりになります。
「考える力」は少しずつ身に付いていく
考える力は、難しい問題を突然ひらめいて解く力だけではありません。
何を聞かれているか確認する力。
必要な情報を選ぶ力。
使える知識を候補に出す力。
選んだ理由を説明する力。
うまくいかなかった方法を変える力。
これらの小さな力を組み合わせたものです。
昨日は質問を見つけるだけで終わった問題でも、今日は公式の候補まで書けるかもしれません。
次は、ヒントを一つもらえば式を作れるかもしれません。
このように、一人で進める範囲を少しずつ増やしていきます。
学校で困っている場合は、「応用問題が分かりません」とだけ伝えるのではなく、「問題文から必要な数字を選ぶところで止まります」「公式の候補は出せますが、一つに決められません」と先生に伝えてみましょう。
困っている場所が具体的なら、必要なヒントも受け取りやすくなります。
国立特別支援教育総合研究所も、つまずきに応じた具体的な方法を示すことや、見通しを持てるようにすることの重要性を紹介しています。
<参考資料> 発達障害教育推進センター「学習面でのつまずきと指導・支援」
応用問題が苦手でも、考える手順を一つずつ練習すれば、できることは増えていきます。
まとめ
発達障害のある中学生が応用問題でつまずくのは、考える力がないからとは限りません。
応用問題では、問題文を読み、必要な情報を選び、知っている公式や考え方を組み合わせる必要があります。
これらを一度に行うことが負担になり、手が止まる場合があります。
まずは、「自分がどこで止まったか」を確認してください。
問題文を読むところなのか。
何を求めるのかをつかむところなのか。
必要な数字を選ぶところなのか。
公式を決めるところなのか。
止まる場所が分かれば、練習することも具体的になります。
今日から始めるなら、応用問題の余白に次の3つを書いてみましょう。
「何を求めるか」
「何が分かっているか」
「何を使えそうか」
そして、解説を見た後は、「なぜその考え方を使ったのか」を一文で残します。
最初から全部解けなくても問題ありません。
質問を囲めた。
必要な数字を選べた。
公式の候補を書けた。
この一つひとつが、応用問題を解く力です。
「考える問題が苦手」「思考力問題が苦手」と感じている人も、考える手順を紙に出し、一人でできる段階を少しずつ増やしていきましょう。
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