発達障害のある中学生が夏休み明けに勉強についていけなくなる理由|2学期に困らないための準備

発達障害のある中学生が夏休み明けに勉強についていけなくなる理由|2学期に困らないための準備
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夏休み明けに授業についていけなくなる原因は、「夏休み中に勉強しなかったから」だけではありません。
発達障害のある中学生の場合、「生活リズムのリセット」「1学期の積み残し」「わからないまま授業が進む速さ」という3つが重なることで、2学期の最初につまずきやすい状態が作られます。
対策は夏休みの終わり1週間と、2学期最初の1週間の過ごし方を変えることです。 

この記事では、夏休み中にやっておける準備と、2学期が始まってからの具体的な立て直し方を場面ごとに紹介します。

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夏休み明けに勉強についていけなくなるのはなぜ?

夏休み明けに勉強についていけなくなるのはなぜ?

夏休み明けに授業についていけなくなる最大の理由は、「1学期の内容がそのまま2学期の授業の土台になっている」ことです。
夏休みを挟んで忘れた内容が多いほど、2学期の最初から理解できない授業が増えていきます。

夏休み中と学校生活では勉強のリズムが大きく変わる

夏休み中は、起きる時間・食事の時間・勉強する時間がバラバラになりやすく、発達障害がある場合、この「生活リズムの乱れ」が学校生活への適応に大きく影響することがあります。

学校では「8時30分に着席して、45分間授業に集中して、5〜10分休んで、また授業」というサイクルが続きます。
夏休み中にこのサイクルを離れると、2学期が始まった最初の1〜2週間は、授業中に集中を保つことだけで脳のエネルギーをほとんど使ってしまい、内容を理解する余裕が残らない状態になることがあります。
これは「怠けている」わけではなく、生活リズムの切り替えに時間がかかること自体が、発達障害の特性として起きやすくなるためです。

2学期が始まる1週間前から、学校と同じ時間に起きて朝食を食べて机に15分だけ向かうという習慣を作っておくだけで、最初の1週間の消耗が大きく変わります。
「勉強すること」が目的ではなく、「学校と同じリズムに体を戻すこと」が目的です。

1学期の内容を使う授業から始まることが多い

2学期の授業は「1学期の続き」から始まります。
数学なら1学期に習った方程式の解き方を使って2学期の内容に進み、英語なら1学期に習った文法表現を前提にした読解や作文が始まります。
夏休みで1学期の内容を忘れていると、2学期の最初から「先生が何を言っているのかわからない」という状態になりやすくなります。

しかも夏休み明けに「小テスト」が行われることもあります。
「宿題は全部終わったのに、最初の小テストで全然点が取れなかった」という状態になるのは、宿題をこなすことと学習が定着することが別の作業だからです。

1学期のどの単元が2学期につながるかは教科書の目次を見れば確認できます。
夏休み中に目次を開いて、2学期最初の単元の前のページを1回だけ読んでおくだけで、「全く知らない状態」と「一度見たことがある状態」の差が生まれます。

「わからない」がそのまま積み重なりやすい

2学期が始まって最初の授業でわからない部分があった場合、発達障害のある中学生は「あとで確認しよう」と思っているうちに忘れてしまったり、「どこがわからないかを言語化すること」自体が難しかったりすることがあります。

学校の授業は1日に4〜6コマあるので、1コマにつき1か所わからない部分があれば1日で4〜6か所の「わからない」が積み上がります。
それが1週間続くと20〜30か所になります。
この状態になると、どこから手をつければいいかわからなくなり、勉強そのものから距離を置くようになりやすくなってしまいます。

対処法は「その日のうちに印をつけておく」だけです。
わからなかった授業のノートに「?」と書いておく。教科書のそのページの端を折っておく。
「あとで全部解決しよう」とは思わなくて大丈夫です。
「今日わからなかった場所を記録した」という状態を作っておくことで、あとから取り戻すスタート地点が見つかります。

ここで大切なのは「わからない」を恥ずかしいことだと思わないことです。
発達障害のある中学生にとって「どこがわからないかを整理すること」自体に時間とエネルギーがかかる場合があります。
「?」の印は、自分の脳の代わりに記録してくれるメモです。
授業後にノートを開いて「今日は3つ?がついた」と確認できれば、それだけで今日の整理は完了です。

周りとの差を感じて焦ってしまう

夏休み明けは、周りの人が「塾の夏期講習で先取りしてきた」「夏休みにたくさん勉強した」という話をしていることがあります。
自分が夏休みに思うように勉強できなかった場合、この話を聞くだけで焦りや「もうダメだ」という気持ちになりやすくなります。

ここで重要なのは、夏期講習などで先取りした内容は、「2学期の授業で改めて習う内容」だということです。
先取りしていない状態でも、2学期の授業を通じて同じ内容を学びます。
「周りより遅れている」のではなく、「授業で習う前の状態にいる」というだけです。
今から先取り分を取り戻そうとするより、1学期の内容の穴を1つだけ確認することのほうが、2学期の授業での理解に直接つながります。

もし「焦り」の気持ちが強くて勉強に集中できない状態が続いているなら、担任の先生やスクールカウンセラーに「夏休み明けが不安です」と一言伝えるタイミングです。
「勉強の悩みではなく気持ちの悩み」も、学校の相談窓口で話せる内容です。

夏休み中にやっておきたい勉強の準備

夏休み中にやっておきたい勉強の準備

夏休み中の準備で最も効果があるのは、「量を増やすこと」ではなく「1学期の一番大きな穴を1つだけ確認すること」と「毎日15分だけ勉強するリズムを保つこと」の2つです。

苦手な単元を全部ではなく一つだけ復習する

「夏休みに苦手を全部克服しよう」と思って問題集を開いたけれど、どこから手をつければいいかわからなくなって閉じてしまった。という経験はありませんか。
苦手を「全部」直そうとすると量の多さと難しさのせいでやる気が続かなくなるので、夏休みの目標は「一番困っている1単元を、基本問題だけ解けるようにすること」に絞りましょう。

1単元を選ぶには、1学期に受けたテストを取り出して、一番点数が低かった教科の一番できていなかった大問を1つ確認します。 その問題の「基本問題(教科書の例題レベル)」だけを解けるようにすることを目標にします。

たとえば数学の「一次方程式の文章題」が苦手だったなら、文章題の応用はいったん置いて「方程式を解く手順」だけを確認します。
1単元の基本問題が5問解けるようになれば、それでその単元の準備は完了です。
全部を完璧にしようとしないことが、続けられる最大のコツです。

1学期のテストで間違えた問題を見直す

夏休み明けの最初の小テストは、多くの場合「1学期の内容から出題される」ことがあります。
テスト勉強をゼロからやり直すより、「1学期のテストで間違えた問題をもう一度解く」だけで小テスト対策になります。

1学期のテストを全部出して×がついている問題だけをリストアップし(ノートに問題番号を書き出すだけで大丈夫です)、その中から「もう一度解いてみたら解けそうな問題」を3〜5問選びます。
その問題だけ解答を見ずに解き直してみましょう。
「全部の×問題を解き直す」必要はなく、3問解き直せれば今日は終わりです。
翌日はまた別の3問を選ぶサイクルを続けると、夏休みの後半2週間で合計20〜30問の見直しができます。

ここで重要なのが「解けなかった問題の分類」です。
解き直して「解けなかった」問題は、「解き方を忘れた」のか「そもそも習ったとき理解できていなかった」のかを区別しましょう。
「忘れた」なら教科書の例題を1回読めば戻りますが、「理解できていなかった」なら先生への相談が必要な問題です。
この2種類を区別しておくと、先生への相談内容が具体的になります。

なお「解き直して解けなかった」問題が多くても落ち込む必要はありません。
「夏休み中に見つけた」ということは「2学期の授業が始まる前に見つけた」ということで、授業が始まってから気づくよりはるかに対処しやすい状態です。

毎日15〜20分だけ勉強する習慣を続ける

夏休み中に「勉強ゼロの日」が続くと、2学期が始まってから「勉強するモードに入ること」自体にエネルギーがかかるようになります。
発達障害がある場合、「切り替え」に時間とエネルギーがかかることがあるため、この「モードに入る」というハードルが特に高くなりやすくなります。

毎日15〜20分勉強する目的は「内容を覚えること」より「机に向かうというルーティンを切らさないこと」です。
「朝ごはんを食べた後、自分の机で15分だけ問題集を開く」という形を決めて、時間と場所を固定するのが最も続きやすい方法です。
昨日やった問題をもう一度解くだけでも、教科書を読むだけでも、ノートを見返すだけでも、15分机に向かえば今日の目標は達成です。

「15分では少なすぎる」と感じるかもしれませんが、15分×夏休み40日=600分(10時間)の勉強時間になります。
目的はあくまで「机に向かうリズムを保つこと」です。

もし「何をすればいいかわからなくて机に向かえない」という状態になったら、教科書を開いてパラパラとめくるだけでも構いません。
「読む」「理解する」という目標を外して、「机の前に15分いる」という事実だけを目標にすると、続けやすくなります。
この「ゼロにしない」という選択が、2学期の最初の1週間の入りやすさを決めます。

2学期に使う教科書を一度読んでおく

2学期最初の授業で「全く知らない単語や概念が出てきてパニックになる」という状態を防ぐための方法として、「2学期に習う単元の最初の2〜3ページだけを夏休み中に一度読んでおく」ことをおすすめします。

「読んで理解する」必要はありません。
「一度目を通したことがある」という状態を作るだけで大丈夫です。
人間の脳は、一度見たことがある情報を「新しい情報」ではなく「知っている情報の確認」として処理するため、授業で「今日から新しい単元です」と言われたとき、「全く知らない」と「一度ページを見たことがある」では脳の処理の負荷がまったく違います。

教科書を開いて2学期最初の単元のページを開き、太字や見出しと図だけを5分間眺めるだけでもいいでしょう。
内容を覚えようとしなくて構いません。
この「5分間眺める」を夏休みの最後の5日間だけ続けると、5教科すべての最初のページを「一度見た状態」にできます。
最初の授業の入りやすさが全く変わる方法です。

2学期が始まってから気をつけたいこと

2学期が始まってから気をつけたいこと

2学期が始まってから最も重要なのは、「最初の1週間に完璧を求めないこと」と「わからない場所を記録し続けること」の2つです。
夏休み明けの最初の1週間は、多くの中学生にとって体と脳が「学校モード」に戻る準備期間です。
発達障害がある場合、この切り替えに人より時間がかかることがあります。
それを前提にした上で「今週は何を目標にするか」を決めておくと、毎日の終わりに「今日も無理だった」ではなく「今日の目標は達成した」と感じられるようになります。

最初から完璧についていこうとしない

2学期が始まった最初の1週間は、内容を完全に理解することよりも「授業のペースと生活リズムに体を戻すこと」を最優先にしましょう。

発達障害がある場合、環境の変化や新しいルーティンへの適応に時間がかかることがあります。
夏休みから学校生活への切り替えは、大人が思う以上に脳と体にエネルギーを使う作業なので、最初の1週間は「授業に出て、ノートを取って、給食を食べて、帰ってくる」だけで十分合格です。

「最初から完璧についていこうとしない」という判断は、さぼりではなく「長期的に見てついていくための戦略」です。
最初の1週間に無理をして疲れ果てて2週目から行けなくなるより、最初の1週間を70%の力で乗り切って2週目から本格的に始めるほうが、結果的にたくさんの授業に出られます。

わからなかったところに印を付ける

授業中にわからないことが出てきたとき、その場で解決しようとするのをいったんあきらめて、代わりに「わからなかった」という記録を残すことだけを目標にしましょう。
ノートの左端に「?」と書く、教科書のそのページに付箋を貼る、この2つがすぐにできる方法です。

「後で全部解決しよう」とは思わなくていいです。
「今日わからなかった場所に印がついている」という状態を作ることが目的で、印がついた場所は「あとで先生に聞く材料」になります。
「何がわからないかわからない」という状態で相談するより、「〇ページの△という部分がわかりませんでした」と言えるほうが、先生も的確に答えやすくなります。

その日の授業は5分だけ振り返る

家に帰ってから「今日の授業を全部復習しよう」とすると量の多さで続かなくなるので、「今日一番わからなかった場所を1か所だけ確認する」という5分の作業に絞りましょう。

今日のノートを開いて「?」のついているページを確認し、その部分の教科書のページを1〜2分読みます。
「読んでわかった」なら「?」を消し、「まだわからない」なら「?」はそのままにして5分で終わりにします。
「わからない」が解消されなくても今日の作業は完了で、「?が残っている場所の数」を把握していることが重要です。 解消しきれなくても記録があれば先生への相談につながります。

困ったら早めに先生へ相談する

「わからないことが3日以上続いている」「同じ授業でずっと何を言っているかわからない」という状態が続いているなら、早めに先生に相談しましょう。
「何がわからないかわからない」という状態でも構いません。
「〇〇の授業で、最近ずっとノートに?ばかりついています。どこから見直せばいいか教えてもらえますか」という形で相談できます。

直接話しかけるのが難しい場合は「?のついたノートのページ」を先生に見せるだけで伝わります。
言葉で説明するより、わからなかった場所のノートを見せるほうが、発話に自信がない場合でも相談のハードルが下がります。

勉強についていけなくなりそうなときの立て直し方

勉強についていけなくなりそうなときの立て直し方

勉強についていけなくなったと感じたとき、「全部を取り戻そうとする」のではなく「どこからわからなくなったかを確認して、そこだけに絞る」ことが最速の立て直し方です。

「どこからわからなくなったか」を確認する

「数学がわからない」「英語がわからない」という状態は、「その教科全体がわからない」のではなく「どこかの単元から穴が始まった」状態です。

今やっている単元の教科書を最初のページから読んでいって、「この言葉の意味がわからない」「この前提が理解できていない」と感じる場所を探します。
その場所が「穴の始まり」です。

たとえば数学で「2学期の連立方程式がわからない」なら、教科書を遡って「一次方程式はわかるか」を確認します。
一次方程式はわかるなら穴は「連立方程式の解き方」にあり、一次方程式の段階でつまずいているならその穴はそこです。
穴の場所が1学期でも中1でもどこでも構いません。
穴のある場所から教科書の例題を1問解くことが、立て直しのスタートです。

一人で解決しようとしない

「わからない」が積み上がった状態を一人で解消しようとすると、どこから手をつければいいかわからなくなって勉強を開始できなくなることがあります。
この状態では「先生に現状を伝えること」が最優先です。

「2学期が始まってから授業についていけていない気がします」という一言を伝えるだけで大丈夫です。
先生は「どこからわからなくなっているか」を一緒に整理する手助けができます。
「どこに穴があるかわからない状態」で一人で探すのと、先生と一緒に探すのでは、かかる時間が全く違います。 相談は問題解決を早める手段です。

先生に話しかけること自体が難しい場合は、「?のついたノートを持って放課後に先生の机の前に立つ」だけでも伝わります。
口で説明しなくてもノートを差し出すだけで「ここがわかりません」という意思は伝わります。
スクールカウンセラーや支援学級の先生に「勉強のことで相談したい」と伝えることも、選択肢の一つです。
「誰かに状況を知ってもらう」だけで、一人で抱えていた重さが変わることがあります。

できるところから少しずつ取り戻す

「全部わからなくなった」と感じていても、実際には「全部」ではなく「いくつかの単元」がわからない状態です。
今持っているテストやプリントを1枚出して、解ける問題と解けない問題に分けてみましょう。

解ける問題が3割あれば、そこは「すでにできている部分」です。
残りの7割のうち「もう一度教科書を見ればできそうな問題」を1問だけ選んで、教科書を見ながら解き直すことが今日のゴールです。
これを5日続ければ5問、10日続ければ10問取り戻せます。
「焦って10問やろうとして続かなかった」より「毎日1問だけ確実に続けた」ほうが、2週間後に残っている量は多くなります。

まとめ

夏休み明けに授業についていけなくなる主な原因は「生活リズムのリセット」「1学期の内容の忘れ」「わからないの積み上がり」の3つで、これらは「夏休み中に勉強しなかったから」ではなく、発達障害の特性として起きやすい状態です。

夏休み中は「全部やり直す」のではなく、1学期のテストで間違えた問題を3問だけ見直すことと、毎日15分の勉強リズムを保つことの2つを優先しましょう。
2学期が始まったら、最初の1週間は「授業についていくこと」より「わからなかった場所に印をつけること」を目標にします。
わからない場所がたまってきたら、「?のついたノート」を先生に見せて相談するという方法を使いましょう。

今日からできることを1つ選ぶとしたら、「1学期のテストを1枚取り出して、×のついている問題に付箋を貼る」ことです。
解き直さなくて大丈夫です。
印をつけるだけで、次のステップが見えてきますよ。

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