発達障害・グレーゾーンの中学生必見！国語・数学の文章題がみるみる解ける勉強法と考え方

「文章題になると途端にわからなくなる」「問題文を読んでも頭に入らない」――そんな悩みを抱えている中学生や保護者の方は少なくありません。
特に発達障害やグレーゾーンの特性を持つお子さんの場合、計算や漢字は得意なのに、文章題になると手が止まってしまうケースがよく見られます。

実はこれは、能力の問題ではなく「情報の受け取り方」や「処理の仕方」に特性があるためです。
つまり、適切な方法で練習すれば、文章題は必ず解けるようになります。

この記事では、発達障害・グレーゾーンの中学生が文章題を苦手に感じる理由を丁寧に解説し、国語・数学それぞれの克服方法、家庭でできる具体的な練習法、そして学習を支える心の持ち方までをお伝えします。
一歩ずつ、確実に前に進んでいきましょう。

なぜ発達障害・グレーゾーンの中学生は文章題を苦手に感じるのか？

読む力より「情報整理力」に負担がかかっている

文章題が苦手な理由として、よく「読解力が足りない」と言われますが、実際にはそれだけではありません。
発達障害やグレーゾーンのお子さんの多くは、文字を読むこと自体はできていても、その中から「必要な情報を取り出す」「複数の情報を整理する」といった作業に大きな負担を感じています。

たとえば、問題文に「太郎くんは〇〇円持っていて、△△円使いました」と書かれている場合、文字としては読めるのですが、「誰が」「何を」「どうしたのか」という情報を頭の中で同時に整理することが難しいのです。
これは決して理解力が低いわけではなく、脳の情報処理の特性によるものです。

「何を聞かれているのか」がつかみにくい理由

文章題では、前半に状況の説明があり、最後に「では、〇〇はいくつでしょう？」といった問いがきます。
この構造そのものが、発達特性のあるお子さんにとっては理解しにくい形になっていることがあります。

なぜなら、「状況を理解しながら、問いを意識し続ける」という二重の処理が求められるためです。
途中で「何を求めるんだっけ？」と目的を見失ってしまい、ただ文字を追っているだけの状態になってしまうのです。

数字・言葉・順序を同時に処理するのが難しい

文章題には、数字、言葉、そして「まず〇〇して、次に△△した」といった時間の流れが含まれています。
これらを同時に処理することは、非常に高度な認知作業です。

特にワーキングメモリ（作業記憶）に特性がある場合、一度に複数の情報を頭の中に保持しておくことが難しく、前に読んだ内容を忘れてしまったり、順序がごちゃ混ぜになったりしやすいのです。

国語・数学どちらも「理解のプロセス」が似ている

一見まったく違う教科に見える国語と数学ですが、文章題に関しては共通点があります。
それは「文章を読んで、情報を整理し、答えを導く」という流れです。

国語の読解問題も、数学の文章題も、求められているのは「書かれている情報を正確に読み取り、論理的に答える力」です。
そのため、どちらか一方が苦手な場合、もう片方にも影響が出ることがよくあります。
逆に言えば、共通する力を伸ばすことで、両方の教科がまとめて理解しやすくなるのです。

国語の文章題が苦手な子の特徴と克服のコツ

「登場人物の気持ち」が分からないのは想像力の問題ではない

「登場人物の気持ちを答えなさい」という問題で手が止まるお子さんは多くいます。
よく「想像力が足りない」と言われますが、これは誤解です。

実際には、「気持ち」という目に見えない情報を、文章中のどこから読み取ればいいのかがわからないのです。
発達特性のある子どもにとって、「暗黙の了解」や「行間を読む」ことは非常に難しく、明確な根拠がないと判断できません。

ですから、「この一文から、こう感じたと読み取れる」という論理的な読み方を教えることが大切です。

「何が起こったか」を時系列で整理する練習をしよう

国語の文章題では、物語の展開や出来事の順序を理解することが求められます。
しかし、時系列の把握が苦手なお子さんにとって、「最初→途中→最後」の流れを頭の中で整理するのは容易ではありません。

そこで有効なのが、出来事を箇条書きにして並べる練習です。
「まず何があった？」「次に？」「その後は？」と一つずつ確認しながら、順番にメモしていくことで、物語の構造が見えやすくなります。

時系列整理の例

• 最初：太郎が公園に行った
• 次に：友達に会った
• その後：一緒にサッカーをした
• 最後：家に帰った

このように視覚的に整理することで、全体の流れが理解しやすくなります。

主語・述語を色分けして読むだけで理解が変わる

文章の構造が見えにくいと感じる場合、色ペンを使った読み方が効果的です。
たとえば、主語（誰が）を青、述語（どうした）を赤で線を引くだけで、文の骨組みが一目でわかるようになります。

これにより、「誰が何をしたのか」という基本構造が明確になり、文章全体の理解がぐっと深まります。
視覚情報を活用することで、言葉だけでは捉えにくい情報が整理されるのです。

「答えを探す」より「根拠を見つける」読み方に変える

国語の文章題では、「答えはどこかに書いてある」と思って探し回るお子さんがいます。
しかし実際には、答えそのものが書かれているわけではなく、「この部分がヒントになっている」という根拠を見つける必要があります。

ですから、「この答えの理由は、本文のどこに書いてある？」と問いかける習慣をつけましょう。
根拠を探す読み方ができるようになると、自然と正解にたどり着けるようになります。

数学の文章題が苦手な子の特徴と考え方を変えるコツ

「日本語から数字に変換する」のが難しい理由

数学の文章題では、「太郎くんは200円持っていて、150円のノートを買いました」といった日常的な表現を、式に置き換える必要があります。
この「言葉を数式に変換する」作業が、発達特性のあるお子さんにとっては非常にハードルが高いのです。

なぜなら、「持っていた」「買った」「残った」といった言葉が、それぞれ「引き算」「足し算」などの計算とどう対応するのかを瞬時に判断しなければならないからです。
言葉と数字の対応関係が頭の中で整理されていないと、どの計算をすればいいのか迷ってしまいます。

「何を求めればいいのか」を先に確認する習慣をつけよう

文章題を解くとき、多くのお子さんは最初から順に読んで、そのまま式を立てようとします。
しかし、これではゴールが見えないまま進むことになり、迷子になりやすいのです。

おすすめの方法は、まず問題文の最後にある「〇〇を求めなさい」という部分を先に読むことです。
ゴールを先に確認してから本文を読むことで、「この情報は必要」「これは関係ない」という判断がしやすくなります。

数字を線や図で「見える化」すると理解が進む

文章だけで情報を処理しようとすると、頭の中が混乱しやすくなります。
そこで役立つのが、図や線分図を使った「見える化」です。

たとえば速さの問題なら、線で道のりを描き、矢印で進む方向を示すだけで、問題の構造が一目瞭然になります。
視覚的に情報を整理することで、「何と何を比べているのか」「どこを求めればいいのか」が理解しやすくなります。

図で整理する例

速さの問題：「太郎くんは家から学校まで20分かけて歩きました。距離は1200メートルです。速さは？」

家 ----------1200m---------- 学校
    ←------ 20分 ------→

このように図にすると、「距離÷時間=速さ」という関係が見えてきます。

「読む→考える→計算する」を分けて練習するのがポイント

文章題でつまずく原因の一つに、「全部を一度にやろうとする」ことがあります。
読みながら考えて、同時に計算もしようとすると、どこかで混乱してしまいます。

ですから、まずは「問題文をゆっくり読む」、次に「何を求めるか考える」、最後に「計算する」というように、作業を分けて進めましょう。
一つずつ確実にこなすことで、ミスが減り、理解も深まります。

家庭でできる！文章題がわかるようになる練習方法

1問を「読む練習」と「解く練習」に分けて取り組む

文章題の練習では、「読むこと」と「解くこと」を同時にやろうとしないことが大切です。
最初は答えを出すことを目的とせず、「問題文を正確に理解する」ことだけに集中しましょう。

具体的には、問題文を読んだ後に「この問題は何を聞いているの？」「どんな状況なの？」と確認し、それが言えるようになってから式を立てる、という順番で進めます。

理解が先、計算は後です。

親子で問題を声に出して読む（音読練習）

黙読だけでは頭に入りにくいお子さんも、声に出して読むことで理解が深まることがあります。
これは、目だけでなく耳も使うことで、情報が脳に届きやすくなるためです。

保護者の方が一緒に音読してあげるのも効果的です。
「ここは誰のこと？」「次に何が起こった？」と問いかけながら読むことで、内容の理解が進みます。
また、お子さんにとっても安心感が生まれ、学習への抵抗感が減ります。

色ペン・付箋を使って情報を整理する

文章題では、複数の情報が一度に出てきます。
それを頭の中だけで整理するのは大変ですから、色ペンや付箋を使って視覚的に分けてみましょう。

たとえば、登場人物ごとに色を変える、時間に関する情報には付箋を貼る、などの工夫です。
これにより、「どの情報がどこにあるか」が一目でわかり、混乱が減ります。

色分けの例

• 青：人物の名前
• 赤：数字や量
• 緑：時間や順序を表す言葉
• 黄色：求めるもの（答えに関わる部分）

「わからなかった部分」をメモして振り返る習慣をつける

間違えた問題や理解できなかった部分は、そのままにせず必ずメモしておきましょう。
「ここでつまずいた」「この言葉の意味がわからなかった」といった記録を残すことで、自分の苦手パターンが見えてきます。

後で見返したときに、「同じところで間違えやすいんだな」と気づけると、対策が立てやすくなります。
また、少しずつできるようになった部分が目に見えるので、自信にもつながります。

勉強に集中できない・覚えられないときの工夫

長時間よりも「短時間×回数」で集中を保つ

発達特性のあるお子さんの中には、長時間の学習に集中することが難しい場合があります。
無理に1時間も2時間も机に向かわせようとすると、かえって効率が下がり、勉強そのものが嫌いになってしまうこともあります。

そこでおすすめなのが、「15分勉強して5分休む」といった短時間の区切りです。
短い時間なら集中しやすく、休憩を挟むことで疲れもたまりにくくなります。
1日に何度かこのサイクルを繰り返すほうが、結果的に学習効果が高まります。

勉強前の「準備時間」を作る

いきなり勉強を始めようとしても、頭の切り替えがうまくいかないことがあります。
そこで、勉強に入る前に「準備時間」を設けましょう。

たとえば、机の上を整える、使う教材を並べる、深呼吸をする、といった簡単な動作を習慣にすることで、「これから勉強モードに入る」という心の準備ができます。
この小さな儀式が、集中のスイッチになります。

記憶に残りやすい「書く」「話す」「動かす」学習法

読むだけ、見るだけの勉強では記憶に残りにくいお子さんも、体を使った学習なら定着しやすくなることがあります。

たとえば、覚えたい内容を声に出して読む、ノートに何度も書く、歩きながら暗唱する、といった方法です。
複数の感覚を使うことで、脳への情報の入り方が強化され、記憶に残りやすくなります。

「完璧にやらなきゃ」を手放すことで学びやすくなる

真面目なお子さんほど、「全部できないとダメ」「間違えてはいけない」と思い込んでしまいがちです。
しかし、この完璧主義が学習の妨げになることもあります。

大切なのは、「少しずつできるようになればいい」という気持ちで取り組むことです。
最初から満点を目指す必要はありません。
1問でも理解できたら、それは立派な進歩です。
小さな一歩を積み重ねることが、やがて大きな成長につながります。

家庭教師・個別指導を活用して苦手を克服する方法

発達特性に合った教え方で「理解の順序」を整える

集団授業では、全員が同じペースで同じ方法で学びます。
しかし、発達特性のあるお子さんにとっては、この「一律の教え方」が合わないことがあります。

家庭教師や個別指導なら、お子さんの理解のペースに合わせて、順序を変えたり、説明の仕方を工夫したりすることができます。
「この子は図で見せたほうがわかりやすい」「繰り返し確認しながら進めよう」といった柔軟な対応が可能です。

一人では気づけない「つまずきのパターン」を分析してもらう

お子さん自身も、保護者の方も、「なぜできないのか」の本当の理由に気づけないことがあります。
しかし、経験豊富な家庭教師なら、お子さんの解き方や反応を見ることで、つまずきのパターンを見抜くことができます。

たとえば、「問題文の途中で目的を忘れてしまう」「図を描く習慣がないから混乱する」といった具体的な課題を特定し、それに合った対策を提案してもらえます。

家庭教師なら「国語・数学をつなげて教える」ことができる

学校では国語と数学は別々の授業ですが、文章題に関しては共通するスキルが多くあります。
家庭教師なら、両方の教科を横断的に教えることで、「文章を読む力」「情報を整理する力」といった土台となる力を効率よく伸ばすことができます。

「国語で学んだ読み方を数学でも使ってみよう」といった連携ができるのは、個別指導ならではの強みです。

得意分野を伸ばすことで自己肯定感もアップする

苦手なことばかりに目を向けていると、お子さんは自信を失ってしまいます。
家庭教師は、苦手を補うだけでなく、得意な部分を見つけて伸ばすこともできます。

「計算は速いね」「図を描くのが上手だね」といった肯定的なフィードバックを受けることで、お子さんの自己肯定感が育ちます。
この自信が、苦手な分野にも前向きに取り組む力になります。

自信を取り戻すための考え方｜「できない」から「できた」へ

「解けた問題」よりも「理解できた瞬間」を大切に

勉強の成果を測るとき、つい「何問正解したか」に目が行きがちです。
しかし、本当に大切なのは「理解できたかどうか」です。

たとえ正解にたどり着けなくても、「ここまではわかった」「この考え方は理解できた」という瞬間があれば、それは確実な成長です。
その積み重ねが、やがて正解につながります。

他人と比べず「自分のペース」で成長する

学校では、どうしても周りの友達と比べてしまいがちです。
しかし、学びのペースは一人ひとり違います。
他人と比べるのではなく、「先週の自分」「先月の自分」と比べてみましょう。

「前はまったくわからなかったけど、今は少しわかるようになった」という変化に気づくことが、何よりの励みになります。
自分のペースで確実に前に進んでいることを、認めてあげましょう。

苦手を1つずつ乗り越える経験が「自信」につながる

大きな苦手を一度に克服しようとすると、途中で心が折れてしまいます。
ですから、小さな目標を立てて、一つずつクリアしていくことが大切です。

「今日は問題文を最後まで読めた」「図を描いて整理できた」といった小さな成功体験が、「自分にもできる」という自信を育てます。
この自信の積み重ねが、やがて大きな苦手を乗り越える力になります。

努力が形になるタイミングを信じて続けよう

勉強を続けていても、すぐに結果が出ないことがあります。
しかし、それは努力が無駄になっているわけではありません。
学びは階段のように、少しずつ積み上がっていきます。

ある日突然、「わかった！」と感じる瞬間が訪れることがあります。
それまでの努力が一気につながる瞬間です。
その日が来ることを信じて、焦らず、自分のペースで続けていきましょう。

まとめ

発達障害やグレーゾーンの中学生が文章題を苦手に感じるのは、能力の問題ではなく、情報の処理方法や理解のプロセスに特性があるためです。
国語の読解問題も、数学の文章題も、「文章を読んで情報を整理し、答えを導く」という点では共通しています。
この土台となる力を、適切な方法で育てることが大切です。

家庭でできる工夫として、問題を「読む練習」と「解く練習」に分けたり、色ペンや図を使って情報を見える化したり、短時間の学習を繰り返すといった方法が効果的です。
また、わからなかった部分をメモして振り返る習慣をつけることで、自分の苦手パターンが見えてきます。

家庭教師や個別指導を活用すれば、お子さんの特性に合わせた教え方で、つまずきの原因を分析しながら学ぶことができます。
苦手を補うだけでなく、得意を伸ばして自己肯定感を育てることも、学びを続ける上で大きな支えになります。
大切なのは、他人と比べず、自分のペースで一歩ずつ前に進むこと。
小さな「できた」を積み重ねていくことで、必ず自信は育ちます。
焦らず、お子さんの成長を信じて、一緒に歩んでいきましょう。